駿心の小説置き場あれこれ

創作した物語を綴ったり、好きな作品を呟いたり(未定)

【創作小説】こんとんのはな【第5話】

 

着替えて居間へと降りると、人工密度が高くなっていた。



「花寿美さん、お邪魔してるよ?」

 

「え……宗鱗さん。今朝も来てたのに、どうかしましたか?」

 

「う〜ん、朝の内に話が終わらなくてね……」



槐は一応三人分の用意をしているが、少しだけ迷惑そうに眉を顰(ひそ)めている。



「宗鱗さん、今朝も言いましたけど俺は行きませんよ」

 

「そう何度も残念なことを言わないでくれ。ちょっとだけでも駄目かい?」



何の話かと聞くと今度、神様の間で大規模な宴のようなものがあると説明を受けた。



「数年に一度、世界各国から色んな神様が集まるんだよ。人間でいうオリンピックみたいな感じかな」

 

「……競うわけじゃないなら、多分違うと思いますが」

 

「今回は日本に集まって行われるんだけど、その分神様以外のモノも混じってきやすいんだよね」

 

「……神様以外?」

 

「妖怪や……西洋でいうなら悪魔とかもかな?」

 

「やっぱり危ないんですか?」

 

「まぁ普段から色んな悪魔が世界各国に潜んでいるんだけど、何せ神が手薄になる時だからね……いつもよりはしゃいじゃう子がいるかもしれないから早めに手を打って用心しておこうと思って」

 

「……祭りのついでにはしゃぐというのは確かにそこはオリンピックみたいですね。……それが一体、何で槐に?」

 

「槐には警護として、そういった悪魔達が侵入してこれないように働いてくれないだろうかとお願いに来たんだ」



槐は宗鱗に向かって杓文字で振って喚いた。



「だぁ〜かぁ〜ら〜!!嫌っすよ!!何でそんな面倒なことを俺がしなくちゃいけないんすか!!大体、そもそも俺はその宴に呼ばれちゃいねぇのに!!」

 

 

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