【創作小説】こんとんのはな【第8話】
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目が覚めて、いつも通りの朝。
「お嬢……今日『花一堂』をちょっと臨時休業にしたいんですが、宜しいですか?」
朝食の準備をする槐が振り返り、花寿美に確認を取った。
本宅に戻り制服に着替えた花寿美は槐の言葉に思い切り眉をひそめた。
「昨夜は力も使っていないし、無理に私の夕飯を作る必要もないわよ」
「あ、いやいや違います!!そりゃ昨日も早めにお店閉じちゃって今日も休みとか申し訳ないスけど」
「じゃあ何?」
「宗鱗さんも言ってたけど、宴が近いからなのか……昨夜から良くない輩がこの町にもウヨウヨしてるみたいなんですよね……お嬢も昨夜眠れなかったみたいですし。それも何かしらの影響かもしれないからちょっとだけ心配というか」
今更、昨夜の悪夢は別宅へ行くための口実だったとは言えなくて、花寿美は店の一日休業を許してしまった。